こどものくにインタビュー!エマージェント・カリキュラムとは

2〜5歳の子どもたちが通うBC州認可のチャイルドケアセンター、こどものくに。そこでは「エマージェント・カリキュラム」が実践されています。子どもの興味・関心から保育を組み立て展開することを特徴とするエマージェント・カリキュラム。一体どんな保育をしているのでしょうか。こどものくにの芳賀園長にインタビューしました。

今日はお時間をいただき、ありがとうございます。まずは簡単な自己紹介をお願いします。

「こどものくに」で園長を務めています。この団体とは日本語学校のボランティアとして関わったのが最初のきっかけでした。その後、保育スタッフたちをまとめるヘッド・ファシリエイターとなり、2014年に園長に就任しました。通算で、もう20年以上ここで働いていることになりますね。

「こどものくに」についてお聞かせください。

「こどものくに」は日系カナダ人をはじめ、様々なバックグラウンドの子供たちが通う、保育園・幼稚園の機能を兼ね揃えたチャイルドケアセンターです。2012年にBC州の認可を取得しました。子どもたちの興味から学びを考えるエマージェント・カリキュラムを保育の基本としています。

こどものくにで大切にしている「エマージェント・カリキュラム」とは、いったいどんな保育なのでしょうか?

エマージェント・カリキュラムは、子どもが好きな事、興味を持っている物をテーマにして学びを進める教育法です。たとえば子ども達が恐竜に興味を持っているようだったら、恐竜をテーマにしたカリキュラムを計画します。ある時こどもたちのなかで「恐竜」が盛り上がっていました。恐竜に詳しい子がいて、その子がいつも話すので、次第に友達も興味を持ちはじめました。「先生、恐竜っておおきいの?」「恐竜って本当にいるの?」そんな質問が飛び出し、恐竜をテーマにしたカリキュラムを組む事にしたのです。

実際にどのような事をされたのでしょうか。

まずは恐竜のどんな事を知っているか、どんな事を知りたいのか、クラスのみんなで話し合いました。すると自分の知っている範囲で恐竜についていろいろな言葉が返ってきました。一番話題に上がったのはなぜ今恐竜には会えないのか、まだ恐竜は存在しているのか、でしたね。子どもたちは対話の中で一緒に考える力を養い、それが新しい発見や豊かな発想を生み出します。次のステップとして、皆で大きな恐竜を作る事にしました。まずは恐竜の画像を見てどんな恐竜にしたいか一緒に考えました。難しいのはみんなで一つの大きな恐竜を作ること。周りの友だちと協力して意見を出し合いながら一つのものを作ります。誘導するのではなく、子どもたちが自分たちで答えを見つけるまでの過程をしっかりと寄り添い、自分自身で考えられるよう見守りました。

このように、エマージェント・カリキュラムとは普段から身近で興味あることを通して学ぶと、一方的に決められたテーマよりずっと自然でしかも効果的という考え方です。

子どもたちの興味や関心を理解し、必要な環境を整えるのが大事なのですね。

私は子どもたちを小さい大人だと思っています。ちゃんと自分の考えを持っているし、自分で決定した事には素直に従います。例えばレインコートを着るように指示すると嫌だと言います。でも2つのレインコートを見せ、赤か黄色かどちらが良いか聞くと、素直に選びます。自分で選んだ色を着る事に誇りや喜びを感じています。これは責任と権利につながっていきます。自分に決定権がある事、その決定が認めてもらえる事が嬉しいんですね。保育士はある程度方向性を決める必要がありますが、その後の選択肢を与えるのが大切です。

エマージェント・カリキュラムという教育方法は日本でも浸透しているのでしょうか。

教育カリキュラムとしてはまだきちんと確立されていないと思いますが、子どもの保育に携わる者であれば、知らず知らずのうちに実践しているのではないでしょうか。ですが知らずに実践していたものを、具現化するのは容易なことではありません。私たちは定期的に勉強会を開き、また職員専用のサイトを立ち上げ、そこで日々の出来事や考えを共有しています。また9月からはエマージェント・カリキュラムの専門講師を招きワークショップを行う予定です。

エマージェント・カリキュラムを通じて、子どもたちの変化を感じることはありますか?

子どもたちの観察力や洞察力が深まったように思います。子どもたちから出てくる会話や創造に日々感心します。

こどものくにに通う子どもたちに、どんな大人になってほしいと思いますか?

子どもたちには想像力と自分で考える力を持ってほしいですね。想像力があると、相手の立場に立って物事を考える事ができる。自分で考える習慣がつくと、自分の道を自ら切り開いていけます。これからもその力を育てていくことができたらと思います。